今回は「たられば」について。と言ってもあの美味しい炒めものではありません(はじめの文字がちがいますね)。
「たられば」とは、
「もし~していたら……」、「もし~していれば……」という、過去を反実(実際とは違う)仮定で振り返ること。
この「たられば」という言葉、世間一般ではあまりよいイメージでは使われません。「過ぎたことをあれこれ思い返しても現実は変わらない。未練がましいぞ!」まあ、そういうことなんでしょうね。
私の好きな映画のひとつに、2017年に話題になった音楽映画があるのですが、ラスト直前に主人公が「あのとき~していたら……~していれば……」と、脳内で「たられば」を連発する場面があるのですよ。
とても感傷的です。去っていった彼女を想ってメソメソしている、みっともない、そう感じる人が少なくなかったようです。
でも、私はこの場面で、震えるほど感動してしまったのです。
未練たらたらでもいいじゃないか、人間だもの。
ひとが「再び前を向く」ためには、「後ろを振り返る」時間がきっと必要なんだ。
みなさんはテストで時間内に余裕を持って答案をうめられたとき、「いちど書いた答えを見直すなんて、未練がましい!」なんて考えますか? まさか。むしろ逆ですよね。
「見直し点検しっかり」やっているはずです。
テストの成績が返ってきたときはどうでしょう? 「過ぎたことをあれこれ思っても成績は変わらない。未練がましいぞ!」なんて考えますか? いやいや、ちゃんと見直しするでしょう。でも、どうしてですか? いくら見直したって成績は変わらないのに。
そう、そうなんですよ。
ひとが「再び前を向く」ためには、「後ろを振り返る」時間が必要。
特に、志望校判定の厳しい数字に打ちのめされて「下を向いて」しまっている6年生にとっては、「未来を変える」ための「振り返り」が、とても大切な“お仕事”になるはずなのです。
そこで、「たられば」。
「もし、○○をきちんと覚えていたら……!」
「もし、設問をきちんと読んでいたら……!」
「もし、時間をきちんと使えていれば……!」 得点できていたはず!!
ここには、未練も感傷も要りません。「何点落としたのか」を確認してみましょう。
「ああ、こんなに失点している……もったいない!」そう、この「もったいない」が大事なんですよね。明るく元気にくやしがりましょう。そのあと、「前を向ける」はずですよ。