のぞみの広場

自由とは何か

No.123
理科 奥田 亮則

 とうとう夏休みも終わりましたね。今年は希学園で最も「熱い」夏を過ごせましたか? 受験生である6年生は当たり前のように毎日頑張っていたと思いますが、その他の学年の人たちはどうでしたか。計画的にすごせましたか?


 私も中学受験を経験しましたが、塾で勉強する時間、家で勉強する時間、遊ぶ時間とメリハリをつけて充実した毎日を過ごしていました。その充実した楽しい夏休みにも、毎年夏の終盤に現れては(ホントは夏休みのはじめから出現しているのですが)毎年私を困らせる敵がいたのです。


 そのにっくき敵の名は「自由研究」です。ある程度テーマが与えられていて、何かについて調べましょう、とお題があればやりやすいのですが、こいつは、「何をやってもいいからとりあえずがんばろうね」みたいな甘い言葉をささやいてきて、結局何をやっていいのかよく分からないまま気づいたら夏休みはあと残り1週間、みたいな状況に陥らせるモンスターです。


 この敵との出会いは1年生の夏でした。1年生の時は、モンスターにやられそうになっている私をさすがに見かねて、母は「そろそろ自由研究やらないの?」と声をかけてくれました。当時1年生の私はそれに対して、「自由ということは、やるのもやらないのも自由なんだよ。」と(本気でそう思っていました)答え、母はそれに「ふうん、そうなのね」の一言で終わってしまいました。今から考えるとなんと包容力のある母でしょうか。しかし1年生の夏、この瞬間、自由研究との戦いの敗北が決定しました。


 さて夏休みが終わり、自由研究提出の時がやってまいりました。みんな大きな模造紙やら分厚いファイルやらを机の上に出し、「自由研究頑張ったひと~」「は~い!」とクラスのみなが手をあげる中、手をあげることのできない少年がここにいました。いまだにこのときの悲しいとも情けないとも言えない微妙な気持ちと、クラスのみんなが手をあげている光景はしっかりと覚えています。


 そのときです。見つけました。教室の左後方離れたところにもう一人静かに下を向いている少年を。救世主です。仲間がいることでとたんに罪悪感がすっと引いていき、心が救われたのを覚えています。心の友よ!


 ちなみにこの年は結局、自由研究を提出しなかったので、保護者会ではなぜか奥田君のところだけ何もない、という事態が発生しました。


 2年生になるとさすがに反省して、今年はちゃんと提出するぞ! と意気込んでみたものの、何をやって良いか分からず、また夏休みは残り約1週間。どうしようもないので外に遊びに出ると、近所の友達がスコップでやたら何か掘っているのに遭遇しました。何をしているか尋ねると、「アリの巣掘ってんねん」と。ここから約2時間、ハンター2名による女王アリ探しが始まりました。たくさんのはたらきアリが逃げ出す中、見事女王アリを発見することができました。


 で、この年の自由研究は「アリの行動観察」。しっかり模造紙にビッチリと仕上げました。模造紙が足りないくらいでした。調べたいこともどんどん出てくるので楽しいのなんの。ただ、実験や観察で食べ物は何が好きか調べるのに、マヨネーズやらケチャップやら調味料を家の前に並べていたので、近所のおばちゃんが母に「あなたのお子さん家の前でマヨネーズたらしてたけど大丈夫?」と言っていたそうです。遠くから小さなアリは見えないから、おかしな子に見えたんでしょうね。


 こんな感じで毎年思いつきの自由研究をやっていました。自由研究も何かきっかけがあれば楽しくすいすいと進みました。


 勉強においても始めるきっかけ、とっかかりがあるとスムーズにいきます。今日は何時から何をやるかの計画って大事です。さあ今日はたくさん勉強しよう、と思ってもいつ始めるか、何をやったらいいか決めていないので進まないこと、起床時間を決めていないのでスタートがおくれてしまうこと、ありますよね。あらかじめ計画をたてて、朝9時から60分算数の最高レベルをやって、残りは理科の気象30分と社会の歴史の復習30分だ! などと決めておけばあっという間に終わります。「自由」に使える時間だからこそ、計画的に使っていきましょう。


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