のぞみの広場

オムライス戦争

No.133
希学園 理科 村上 貴志
オムライス戦争

 みなさんは覚えているでしょうか、ご自身が3歳だったころを。現在3歳児の父である私ゴリラは、お野菜をなかなか食べてくれない息子と格闘しています。息子が積極的に食べるお野菜といえばもやしかたまねぎ。たまねぎは良いとして、もやしの栄養価は非常に低い、これでは非常にまずい……。保育園で「好きな食べ物は?」と問われたときに、「にんじん!」と元気よく答えた割には、にんじんはまったく食べない……。

 そんな私は先日、色々な野菜をばれないように食べさせるべく、オムライスを作ることにしました。なぜオムライスなのか。それは、色が濃い上に、卵でつつんで中身を隠すことができるから。何としてもばれずにお野菜を食べさせよう! 食べさせたい!! という二段構えの作戦です。準備したお野菜はたまねぎ、にんじん、ピーマン、パプリカ。栄養価としては完璧なこの布陣、いかにして食べさせるのか。保育園のお迎え前、お昼寝したい気持ちをおさえて考えつくしました。たまねぎは積極的に食べるから良し、にんじんはケチャップライスの色味でばれないから良し。問題は緑の悪魔のピーマン、こいつが強敵だ。未だかつてこのときほどピーマンに対して思考をつくしたことがあっただろうか。理科の入試問題を解くときよりも頭を使った結果、算数の場合の数の問題でステキな解決策を思いつかなかったときのように、地道な作戦に出ることにしました。そう、それはみじん切り。細かく、細かく、これ以上になく細かく、原型を留めさせないほどに細かく切りました。やっぱりどんなときでも困ったときには地道であることは大切ですね。そして、この細かく切ったものをフライパンの中でどろっとした液体状にぐつぐつと煮込みました。イーヒッヒッヒッヒと心の中で悪だくみをしている魔女のごとく笑いながらじっくりと煮込みました。

 さて、息子をお迎えに行った帰り道、「今日はオムライスだよ!」などと言って息子のテンションを高めつつ帰宅。手を洗った後は即座に夕食にしないとご機嫌を損ねて食事どころではなくなるので、事前に仕込んでおいたケチャップライスを華麗に卵にくるんで息子の前に提供しました。いざ尋常に勝負! 息子の目に飛び込んだほかほかできたてオムライス! 見事息子の口に迎え入れられました!! 「これは勝った!」と思いきや、やおらオムライスの断面をのぞき込む息子。や、やめろーーー!! 野菜を警戒することについてはこれまでに並の3歳児を超えるであろう経験を積んできた息子、緑の破片に気付きます。米粒の10分の1くらいしかないのに……、あんなに刻んだのに……。残念ながら緑の悪魔は受け入れられませんでした。その後は必死で緑の悪魔を取りのぞき、それ以外を食べてもらいました。今回は私の負けなのか、いや違います。みなさん、お気づきでしょうか、私はまだパプリカについて何も書いていないことを。実は、パプリカはミキサーでドロドロの液体状にして、オムライスの上からかけるケチャップに混ぜておいたのです。これは全くばれませんでした。そう、正義は必ず勝つのです、努力は必ず報われるのです、私は勝ったのです!!!

 みなさんのご家庭の方も、このようにしてみなさんの健康を保つためにお野菜を食べさせようと苦労をなさってきたことと思います。だからこそ、今のみなさんがあります。健康であることを当たり前と思わず、ご家庭の方に感謝を忘れないでください。

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