社会で習う山、川などは旅行すれば実際に目で見て確認することができますね。理科で習う昆虫は近所にいたり、星座は夜空を眺めれば実際に確認したりすることができますね。国語で習う漢字は日本国中どこでも使われていたりするし、論説文は実際に世の中で起きている出来事の話題を扱っていたりしますね。では、算数は世の中とどのように関わっているでしょうか。
例えば、足し算、引き算、かけ算、わり算は買い物で使いますね。では、その他にはどんな点で現実の世界と関わっているでしょうか? 少し考えてみてください。
…どうでしょう? いくつくらい思い浮かびましたか?
角度の計算は建物を建てる際に役立ちそうとか、速さの考え方が車で旅行する際に予定を立てるのに使えそうとか、色々と浮かんでくるかもしれませんね。
しかし、これらはまだまだほんの一部にしか過ぎません。みなさんが思いもつかないような所でも、算数は世の中と関わっているのです。
例えば、みなさん(もしくは、みなさんのお父さん、お母さん)がインターネットで買い物をする時には、住所や銀行口座などの個人情報をお店に送信しなければいけませんが、そのまま文字情報として送信してしまうと、インターネットを悪用する人たちに盗み見られてしまう可能性があるのです。そのため、個人情報などは、万が一、他人の手にわたっても大丈夫なように、暗号化して送信する決まりになっています。その暗号を作るときに、みなさんが習った(3、4年生の人はこれから習う)素数という数(1とその数自身以外の数では割り切れない数)が大活躍しているのです。なぜ素数を使うかというと、ある程度大きな素数(7427466391など)になると、もはや知っている人なら素数とわかるけれど、知らなければ素数かどうかの判別が困難なので、暗号の鍵としてはもってこいなんですね。このようにして、何の関係もなさそうな素数がみなさんのインターネットショッピングの安全を守っているのです。
他には、詳しく説明しだすと何百ページにもなってしまうので説明は省略しますが(決して説明するのが面倒なわけではありませんよ!)、2進数という考え方がパソコンやゲーム機などの中枢部分になっていますし、宇宙船が月などの目的地へたどり着くには、軌道を計算する上で算数をさらに進化させた数学の知識が不可欠になります。
これらはまだまだごく一部ですが、これから先の人生でみなさんが専門的な仕事をしていこうとすると、なんらかの形で算数の知識が関わってくることになります。
なんでこんなこと勉強するのかなーと思っている人は、もう数年辛抱して勉強してみてくださいね! きっと、こんなところで世の中と関わっていたんだー! と驚きや発見が出てくると思います。
…と、ここまでは算数の役に立ちそうな話をしてきましたが、最後に役に立たない(かもしれない?)話も紹介しておきましょう。
こんなことが説明できても何の役に立つのかはさっぱりわかりませんが、70年以上も世界中の数学者、大学教授たちが挑み続けているという素敵な問題です。
以下が1937年に発表されたコラッツの問題(予想)というものです。
「1以上のある整数をnとする。
・nが奇数の場合は3倍して1を足す。
・nが偶数の場合は2で割る。
このような単純な作業を繰り返していくと、どんな数でも1になるだろう」
とローター・コラッツさんが予想をしました。
例えば、最初の数を6とすると、6→3→10→5→16→8→4→2→1という風に、きっちり1になりますね。
さて、「最初の数をどのように決めても本当に1になるでしょうか?」というだけの問題なのですが、なんと70年以上も未解決のままなのです!
もし、きっちりと説明(数学的には証明)できれば、もしくは、いくら計算したって1にならない数を見つけ出せば、世界中の数学者たちが注目してくれること間違いなしです。一度、みなさんも考えてみてはいかがでしょう? 例えば、最初の数を27として試してみてくださいね!
説明ができた! という人はぜひ私までご一報くださいね。