ある夏の日のことでした。希学園に行こうと急いで支度をしているときに、右足の太ももの後ろあたりに「チクッ」という痛みが走りました。痛みに鈍い私は特に気にせず、そのまま希学園でお仕事をしてその日は何事も無く帰宅しました。
次の日の朝、蚊に刺されたような感じで腫れてきたのですが、鈍い痛みが奥の方からズキズキとやってくるのです。ここで普通なら、薬を塗ったり病院に行ったりするのですが、「まあ治るやろ、僕の白血球頑張れ」とそのまま数日を過ごしました。
そうこうしているうちに、太ももがパンパンに腫れ、足をひきずりながら歩くようになり、痛くて椅子にも座れなくなりました。その様子を見た生徒に、「どうしたの? 触ってあげよか?」と患部を狙われるようになり、これは放置するとまずい、とうとう観念して病院に行きました。
病院の先生は開口一番、「見事だね~、すごい腫れ方だ」とほめられたのかなんだかよく分からなかったのですが、続いて、
「今すぐ処置をしましょう」「え?」
「痛かったら言って下さいね」「はい?」
有無を言わさず看護師さんが体を押さえつけ、先生は私の足をギューっと絞り始めました。
「痛い痛い痛い…」
痛いって言ったのですが、止めてくれる気配は皆無でした。痛かったら言って下さいねって言ってくれたのはなんだったんでしょう。それはそうと、大量の膿が出て大変でしたが、そこに食塩水をかけて薬を塗り、処置が終わりました。
そのあと、原因がどうしても気になる私は先生に聞いてみました。
「何に刺されたんでしょうかね?」
先生は「何の虫かはわかりません、でもあと2週間はかかるので安静にして下さいね。」と、あまり原因究明には興味がなさそうでした。
さあ、ここから奥田刑事の犯人さがしが始まりました。息子の持っている昆虫図鑑や危険生物の図鑑を使ってくまなく調べはじめ、さらにインターネットでの様々な虫や毒の調査により、なんとか犯人をドクガまたはチャドクガの幼虫と特定でき、おそらく風で飛んだ毒針が服につき、それが刺さった上にアレルギー反応が大きすぎてこのような事態になったのだな、と納得できました。
おかげで毒を持つガやアブ,ブユといった虫の刺し方やその違い、毒の種類についてとても詳しくなりましたが、ここで私は、「あれ? これって勉強と一緒だな」と感じました。
小さな疑問が出てきたとき、気になって仕方がないのですぐに調べて、学習が広がっていき、覚えようと思っていないのに自然と覚えられる。そしてそうやって覚えたものは忘れにくい。当たり前のことですが、こうやって自分でやってみると正しい勉強法なんだなと再認識しました。
普段4,5年生の自習室で私は、○付けを後回しにする生徒を見かけては、「すぐに○付け,復習,分からなかったら調べようね。」とさんざん言っています。また、6年生も受験が差し迫ったこの時期、普段の学習や過去問演習でたくさん問題を解いて復習を後回しにしがちな時期ですが、しっかりひとつひとつ問題を解決して納得してから次に進みなさいと伝えています。
みなさんも、理科の勉強に限らず、普段の学習で「問題解決を後回しにしない」「気になった所はとことん調べる」この2つをぜひ実践して下さいね。