のぞみの広場

バクテリアに感謝

No.63
希学園 理科講師 奥田 亮則

 理科の授業をしていると、たまに動物や植物の知識がとても詳しい生徒がいて驚きます。具体例を挙げるとキリが無いですが、教科書や図鑑のレベルを超えた大人顔負けの知識を授業中披露してくれるので、負けじと私もマニアックな生物の知識をひけらかして大人の知識量を見せつけているのです(大人げないですね……)。どういう所からその知識を得ているのかと尋ねると、決まって「実際に見たから」「飼っていて実際にそうだったから」という答えが返ってきます。やはり実体験に基づく知識って大切ですね。


 なぜこんな話をしているかと言うと、実は我が家でも初めてセキツイ動物を飼うことになったからです。実は最近まで、無セキツイ動物のコクヌストモドキというこん虫を飼っていました。米びつにいたこん虫を見て、息子が「飼いたい」とごねるので仕方なく飼っていたのですが、とうとうコクヌストモドキちゃん(ペット名です)が天に召されました。次に飼うもの無いかと考えていた所、近所のお祭りでもらってきたメダカを大量に抱えた息子が「メダカ飼ってもい~い?」とのこと。どうせ世話は私がやることになるのだろうと思いながら許可した所、案の定それから毎日メダカのお世話をさせてもらっています。

 ところが、夏期講習が始まりお世話係が忙しくなるとメダカたちの無言の抵抗が始まります。毎日帰宅するたびに一匹ずつプカーッと浮いて死んでいくのです。「お世話してくれよ~、水替えしてくれよ~」と思いながら死んでいったのでしょう。来る日も来る日も帰宅後プカーッなので、始めは「ごめんよ、許しておくれ」と思っていましたが、だんだん慣れてきて「こっちも忙しいんだから仕方ないんだよ」と思うようになってきました。そして最後にはたくさんいたメダカが4匹だけになってしまいました。これはいかん、と思い、この生き残った精鋭たちをきちんと育てようと決心し、本格的なろ過装置と、水族館で使っているプロ仕様のバクテリアを購入し、水作りから本格的にやりました。すると水のにごりもにおいも無くなり、4匹とも見事に生き残り、どんどん卵を産んで今では数え切れないほどの子メダカが泳いでいます。

 いつも理科の食物連鎖の授業では「分解者であるバクテリアには感謝しないといかん」と言っているのですが、まさにそれを実体験したこの夏でした。


 みなさんもふだん学校や勉強で忙しくて本物にふれる機会があまりないと思いますが、やっぱり実体験って大事です、ぜひ本物にふれて色々なことを感じ取って下さい。このメッセージを受験生の6年生が鵜呑みにして、水族館や動物園に足繁く通うことのないように祈ります。

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