のぞみの広場

楽問(がくもん)の すゝめ

No.113
希学園 理科 下村隆太朗
楽問(がくもん)の すゝめ

 僕は普段からときどき、「理科っていいよ!」「理科って楽しいよね!」といったことを口にします。もちろんそれには何か裏やたくらみや陰謀がある訳じゃなくて本心からそう言ってるのですが、僕だって生まれたての赤ん坊の頃からそうだったわけじゃないのです。


 子供の頃の僕は勉強が嫌いでした。とにかく外で遊び回るのが好きで、受験勉強を本格的に始めるまでは短パンに麦わら帽をかぶり、虫アミを持って走り回っていました。セミを手づかみして捕まえたり、ミノガの幼虫(ミノムシ)を折り紙と一緒に入れておいてカラフルなミノをつくったり、噴水のところに大量発生したオタマジャクシを水槽に入れて成体になるまで育てたり。いろいろなことをしていました。


 塾には通っていたのですが(当時関東には希はなかったので別の塾です)、遊びの時間がうばわれてしまうのが嫌で仕方がありませんでした。自分の中で遊びは「楽しいもの」、塾や勉強は「つまらないもの」、という勝手な仕切りを心の中につくっていたんですね。しかし、本当はそうではなかったのです。

 僕の授業の中には、当時の塾の中で覚えた覚え方がときどき登場します。裸子植物の覚え方はリズムに乗って、「マツ、スギ、ソテツ、イチョウ、モミ、ヒノキィ!」。不完全変態の覚え方は「カットバセ~ゴキ子!」、などなど。また、僕の雑談の中にはときどき、当時の塾の先生の面白話も登場させています。皆さんに話をする雑学や教え方の中にも、実は子供の頃に当時の先生から教わったことがたくさんふくまれています。結局のところ楽しんでいたんですね、僕自身そのことを自覚していなかっただけで。だってつまらなかったら、こんな長い間覚えていられませんよね。


 確かに勉強は楽しいばかりではありません。しんどいのに明日までの宿題が終わらない。思うように成績が上がらない。覚えることが多くて、あるいは解き方が難しくて、理解するのが大変。いろいろと苦労があるとも思います。それでもだからといって、勉強を「つまらないもの」のカタマリとしてとらえてしまわないでください、昔の僕のように。


 さて、皆さんは下村はなぜこんなに勉強を楽しむことを伝えたがっているか、そろそろ気になってきているころだと思います。えっ、別に気になっていないって? 気になっているものとして続けます。実はここからは塾講師になって、みんなに授業をしてきている中で感じていることなのですが、習った内容を楽しんで覚えていっている子ほど学力が伸びやすいのです! 「本当かなぁ?」そう思ったあなた! 本当です。


 「好きなことはよく覚えられるのに、勉強のことは全然覚えられない」という話はあるあるの話ですよね。これは科学的にもごく自然のことです。好きなことは脳が刺激を感じて印象に残りやすく、また楽しかったことは思い出してみたり人に話したりするので自然と反復学習されるのです。


 受験がせまってきて、とても勉強に楽しみを見いだせる状況じゃない人も大勢いるでしょう。でも、新しい知識に好奇心がゆさぶられたとき、難問にチャレンジしていくとき、解けなかった問題が解けるようになったとき、ふと面白さを感じる瞬間があるはずです。それを少しの間、心の内側で味わって楽しんでみて下さい。そうすることでもっと学力が伸びていくはずです。


 だから僕は何度でも言います。 「理科って楽しいよね!」


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