のぞみの広場

大人とは

No.116
希学園 社会科 山田隆徳

 これまで「20歳から」とされてきた成人の年齢が、2022年4月1日から「18歳から」に変わりました。これは約150年ぶりの大改革になります。これにより、この日の時点で18歳と19歳の約240万人が成人となり、親の同意を得ずに自分の判断で、携帯電話の購入や賃貸住居への入居、クレジットカードの作成など、様々な契約行為が出来るようになりました。


 小学生の君たちは、これから中学生、高校生となり大人に近づいていきます。では、大人になるというのはどういうことでしょうか。それは私たちが生きている社会をより良くしていく責任を追う立場になることです。


 世界は、日本は、そして君は実に様々な問題に直面しています。「諸外国との関係はどうあるべきか?」「環境問題はどうしたら解決できるか?」「貧困の問題にどう対処すべきか?」など、当事者意識を持って自分で考え、行動しなければいけません。


 大人になるまでに「自分の頭で考える」訓練をしていくことが大切です。社会科はその訓練に役立つ科目です。たとえば、日本の総合食料自給率(2020年度)は37%で、ここ数年は同様の数字で推移しています。ただしこの数字はカロリーベースによるもので、生産額ベースでの数字は67%になります。カロリーベースというのは、国民に供給される熱量(カロリー)に対する国内生産の割合です。重量あたりの熱量が小さい野菜や果実をたくさん国内で作っても、熱量の大きい小麦や大豆の輸入が多いため、総合の自給率は低くなっているのです。一方の生産額ベースはその名の通り、金額にかえて計算して出されるものです。保護政策で価格を維持している米や、品質が高く消費者の好みに合わせて生産される野菜や果実など、日本の食料は値段が高いので割合も高くなっていきます。食料自給率をカロリーベースで公表するのは世界的に見てごくわずかで、日本以外では韓国や台湾があります。では、なぜ日本はカロリーベースを指標にしているのでしょうか?


 さあ、自分の頭で考えるのはここからです。

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