のぞみの広場

暦(こよみ)の上では……

No.124
国語科 明石 翼
暦(こよみ)の上では……

 例年と同様、今年も暑い夏がやってきました。最近は一日の最高気温が35度を超えるような日も珍しくなくなってきてしまい、最高気温が30度台前半と聞くと「お、今日はちょっと涼しいかな」と思うようになってきてしまいました。希学園の今年の夏のキャッチフレーズは「今年の最高気温は希学園で生まれるであろう。」です。「暑い」、ではなく「熱い」夏にするべく暑さに負けずがんばるぞ! といった感じですね。「夏は受験の天王山」とは受験の世界でよく使われる言葉ですが、この暑い時期、特に午前中をどのように過ごすかによって秋以降の学習計画が大きく変わってきます。毎日規則的な朝型生活を心がけていきましょう。


 そんな暑さ真っ盛りの8月ですが、8月8日は立秋。暦の上ではこの日から秋となります。「こんなに暑いのに秋!?」と思うかもしれませんが、秋なのです。この「暦」とは二十四節気のこと。一年の太陽の動きを二十四分割したものが二十四節気で、昔の人たちはこの区分をもとに色々な年中行事や農業を行っていました。そのうちの4つは皆さんもよくご存じ「夏至」「冬至」「春分」「秋分」。それぞれ春夏秋冬の季節のちょうど真ん中に位置する日で「二至二分」と呼ばれます。ここにそれぞれの季節の始まる日となる「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の四つ(四立)は受験生としては知っておかねばならない最低限の基礎知識ですね。


 話がそれてしまったので元に戻しましょう。全然秋が来たようには思えない「立秋」ですが、皆さんの中では「一番暑い時期」というイメージがあるかもしれません。それもそのはず、上で書いた二十四節気ではこの立秋の一つ前が「大暑」といって一年の中で一番暑い時期になります。昔の人も今の我々と同じように感じていたわけです。では「立秋」はというと、ここから徐々に涼しくなりはじめ、朝晩などに少しずつ秋の気配を感じるようになる時期ということになります。立秋まできたら厳しい夏ももうあと少し。今までよりも暑い日はもうやってこないというイメージですね。「夏も峠を超えた」というような言い方もできるかもしれません。


 夏に出す手紙のことを「暑中見舞い」と言いますが、こういった理由もあって立秋を過ぎると「残暑見舞い」となり、これまでは「暑さが厳しいですね」といった挨拶から「まだまだ厳しい暑さが残りますね」と変わっていきます。このように日付をまたぐと手紙の挨拶の内容や呼び方が変わる有名なものは他にもあります。すぐに想像できるでしょうか? 考えてみましょう。


 答えは「年賀状」と「寒中見舞い」です。年賀状を出すのは「松の内」の間。「松の内」は門松を飾っている期間、つまりお正月の期間になるので(関東では)1月7日までということになります。ここを過ぎたら「寒中見舞い」。六年生の入試がいよいよ本格的に幕開けする時期がやってきます。「受験生に季節は関係ない」というのも一つの考え方ではありますが、こういった季節ごとの行事や風習がさらっと常識の一種として出題されることがあるのもまた、中学入試です。単純暗記で全てが乗りこえられる人ばかりではありませんから、季節やイベントと関連付けして知識を蓄積させつつ、季節感も大事にしながら集中してこの夏を乗りこえていきましょう。

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