のぞみの広場

信じた道をいく

No.133
希学園 社会科 棈松 佑太
信じた道をいく

 この春、あべまつは5年ぶりにタブレットを買い替えました。そこで、電子書籍で何か一つ過去の名作を読んでみようと思い、『ドン・キホーテ』の読破にチャレンジしました。

 みなさんは『ドン・キホーテ』を知っていますか? ペンギンのキャラクターがいる、驚くほど安いお店のことではないですよ。また、『ドンキ・ホーテ』ではなく、『ドン・キホーテ』です。

 『ドン・キホーテ』は、17世紀初めに、スペインのミゲル・デ・セルバンテスによって書かれた、前編と後編からなる小説です(日本だと徳川家康が江戸幕府を開いたころですね)。これまで聖書に次いで世界で2番目に多く発行されているともいわれるぐらい世界的に有名な作品で、なんと前後編あわせて全6巻、計2546ページにわたる大長編です。なので、読破はなかなか大変なチャレンジでしたが、1ヶ月ほどかけて何とかすべて読み終えました。

 

 『ドン・キホーテ』のあらすじを紹介します。スペインのラ・マンチャ地方で、とある村に住んでいた50歳ほどの主人公アロンソ・キハーノは、騎士道物語を読みふけり、現実と空想の区別がつかなくなってしまいました。そして、自らをドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャと名乗って、痩せ馬のロシナンテに乗り、最初は一人で、途中からは近所の農夫サンチョ・パンサを引き連れて、冒険の旅へと繰り出します。ドン・キホーテは、最初は自らを「愁(うれ)い顔の騎士」、途中からは「ライオンの騎士」と名乗り、道中でさまざまなトラブルを引き起こします。

 

 『ドン・キホーテ』の話の中で最も有名なのは、風車のエピソードでしょう。野原に立ち並んだ三十から四十の風車を、ドン・キホーテは巨人たちだと思い込み、巨人たちを地上から追いはらおうとロシナンテとともに風車に向かって突撃します。しかし、ドン・キホーテは回転している風車の翼に槍をへし折られ、ひどく地面に叩きつけられたのでした(ちなみに、これは小説全体の5%ほど読み進めたところで出てくる、かなり最初の方のエピソードです)。また、上に書いた「ライオンの騎士」という二つ名は、国王に献上されるライオンが入った檻を載せた荷車に出会ったドン・キホーテが、魔法使いが自分を邪魔しようとしてライオンを差し向けたと思い込み、檻を開けさせてライオンと戦おうとしたことから来ています。

 

 ドン・キホーテは、中盤までこのような荒唐無稽(こうとうむけい)な振る舞いを繰り返します。傍(はた)目から見るとドン・キホーテはどうかしているように思えますが、心の底から騎士道物語を信じているドン・キホーテは、騎士道精神を貫き続けます。すると、物語が進むとともに、ドン・キホーテの言動に心を動かされる人々も少しずつ増えていくのです。

 

 みなさんの中には、現在の自分の成績では、第一志望校の偏差値にはなかなか届かないという人もいるでしょう。志望校を変更したらというようなことを、保護者の方に言われることもあるかもしれません。

 ただ、それで「自分は合格できないかもしれない」と合格を信じられなくなったら、それこそ合格はさらに遠のいてしまいます。

 人間関係でも、自分が心の底から相手を信じることで初めて相手からも自分を信じてもらえるもの(その対偶をとると、相手から信じてもらえていないと感じたら、まず自分が相手を信じていないということ)ですが、受験生と第一志望校の関係にもそれと近いものがあるかもしれません。

 自分は第一志望校に合格できると心の底から信じ、貫いてこそ、どんなに厳しい状況からでも合格への道が開けてくるのです(今年の入試でもあべまつはそのような合格を目の当たりにし、心の底から感動しました)。

 

 ですが、ただ信じるだけで、それに見合った努力がともなっていなければ、風車に吹き飛ばされたドン・キホーテのようになってしまいます。

 「信念」と「努力」、この二つを兼ね備えて、必ずや「合格」を勝ち取りましょう!

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