3月20日、原稿の締め切りまであと2日というタイミングで執筆しています。本日は希学園の卒園式。先月、激闘を終えた20期生の門出を祝う大きな行事のため、有楽町に来ています。子どもの数だけ、戦いの、受験の物語があります。その中で、皆さんは毎日を悔いなく過ごせているでしょうか。卒業生と話をしたり、体験記を読んだりすると、口々に出てくる言葉があります。
「春からもっと勉強しておけばよかった」
多くの小学生は夏になってからスイッチが入るものです。皆さんは授業を受け、自習をし、同じ母集団の中で切磋琢磨していきます。周囲も同じように努力をしているのですから、「偏差値」という怪しげな数値はそう簡単には上がりません。時々、「勉強しても偏差値が変わらないのですが、続ける意味があるのでしょうか」と相談を受けることがあります。これは大きな誤解で、偏差値をキープしているということ自体、そもそも成長の証拠なのです。
しかし、せっかくやるからには周りに差をつけたい気持ちもあるでしょう。そのために大切なのは、周りがまだ本気になっていない期間にどれだけ努力できるか、ということに尽きます。
この文章を読んだライバルも今から頑張るようになるから結局無駄だ、とやらない『言い訳』を見つけてくる一休さんもいるかもしれません。しかし、この時期から「頑張る」というのは、意外に難しいものです。受験までの期間がまだまだあると錯覚してしまうからです。
人間は、基本的に締め切りが遠いと頑張れない生き物です。夏休みの宿題を7月中に終わらせたという人は、どれくらいいるでしょうか。おそらく多くの人は、8月の終盤になってから急に本気を出したはずです。とある統計では、夏休み最終日に宿題を終わらせた人が、夏休み前半に終わらせた人の合計とほぼ同数だったそうです。人間らしい結果ですね。
この原稿を締め切り直前まで1文字も書いていなかった事実からお分かりの通り、私は自分を追い込むことが好きです。ドMではありません(ということにしておきます)。追い込まれたときに、パフォーマンス(作業スピードや正確性)が目に見えて上がることを体感できるからです(ということにしておきます)。
ただ、受験勉強でそれをやるのは危険です。「そろそろ本気を出すか」と思ったときにはすでに入試本番だった……ではアウトです(特に男子、緩んでいた先輩の前例はいくらでもありますよ!)。「まだ春」と思ってしまうのであれば、ゴールラインを変えましょう。今であれば、復習テストや習熟度チェックテストで目標設定ですね。「頑張る」ことがつらいのであれば、それを当たり前にしてしまいましょう。理科講師らしい雰囲気を出しておくと、例えば呼吸は無意識のうちに規則正しく行われる生理現象で、頑張って呼吸している人はいません。頑張るのではなく、何事も呼吸と同じように。
1時間勉強しようと思ってうまくいかないのであれば、5分を12回積み重ねましょう。やらない『言い訳』を考え続ける人よりも、5分でも行動に移した人のほうが、1年後には大きく前に進んでいます。
受験が終わったあと、「春からもっと勉強しておけばよかった」と言うのは簡単です。しかし、その言葉を言わない側に回れる人も、毎年必ずいます。その違いは、「まだ春」と思うか、「もう始めるしかない」と思うかだけです。
さて、私が珍しく真面目に書いたこの文章をここまで読んでしまった皆さんは、もう『言い訳』が一つ減りました。
今日の5分を、どう使いますか?
