のぞみの広場

魔法使い入門

No.98
希学園 国語科講師 佐々木 優

 こんにちは。希学園国語科所属、魔法使いのササキです。

 いまこれを読んでいるみんなの「え?」「は?」という声が聞こえてきました。まあまあ、いまみんなに魔法をかけてあげるので、ちょっとはなしを聞いてください。


 さてさて、まずどこに魔法をかけるかというと、脳みそです。

 脳みそって、実は結構だまされやすいんです。「できる」とおもうとできるし、「たぶんできない」とおもうとできない……というより、そもそもやる気になりません。

 SF作家のジュール・ヴェルヌが「人間が想像できることは人間が必ず実現できる」と言ったとか言わないとかいうはなしもありますし、上下が逆さまに見える眼鏡をかける実験をした人の脳が「変な見え方だな……あ、これ逆にすればいいのか」と覚えた結果、急に世界がぐるっと回ってさかさま眼鏡をかけているのにふつうに見えるようになった、なんていう実験結果もあります。

 脳って割といいかげんなんです。


 では次にどうやって魔法をかけるかというと、ササキは国語科ですから、呪文――すなわち、言葉です。


 日本では古くから、言葉はちからを持つとおもわれていました。『言霊(ことだま)』と呼ばれるものです。言葉にはふしぎなちからがあって、口に出したことは実現する、というのです。「そんな、まさかあ(笑)」とおもいましたね? そんなことあるんですよ。

 例えば、大事な試験の前には「○○る」や「○○ぶ」という言葉を使わないようにする人は、いまでもけっこうたくさんいます。いまこの文を読んだ人の中にも、もしかしてちょっといやな気分になった人もいるのかもしれません。それは、そういうことです。そう言われちゃうと、本当にそうなっちゃう(実現する)ような気がして、「縁起でもない」と感じる。感じるということは、「その言葉にはそれを実現させる力がある」、となんとなく考えているということ。むかしほど強くはないけれど、いまもこうして言霊っぽいものはわりと身近なところに残っているのです。

 (ちなみに、安心してください。神社に合格祈願をしに行って、廊下でつるっと○○って○○んで手に持っていた合格祈願のえんぴつを○っことして、そして志望校に合格した人が私の知り合いにいます!)


 はなしがそれました。戻しましょう。

 先ほどのように「縁起でもない」と感じるから避ける言葉もありますし、その逆もあります。文字のちからで誰かや何かを祝うために、おめでたい意味の漢字で書いて言いかえたり、自分をふるい立たせるために決心を口に出して、「実現させてやるぞ!」と気分を高めたりすることもあります(小6生は激励集会で、やりましたね?)。


 声、すなわち音は音波です。

 人間の身体は約60%が水です。音波は水をふるわせます。ちからを持った言葉は、人間の脳を揺らして一種の催眠に掛けるのです。

 さらに、子どもであるみなさんは約70%が水でできていますから、余計この音波の影響を受けやすいと言えます。


 もちろん、50mですらまっすぐ走れないササキがこの「魔法」によっていきなり世界新記録を出すことは無理でしょう。それには毎日の練習と努力が必要です。けれど、最初から諦めるよりずっと可能性が広がります。

 勉強も一緒です。できないとおもったらできません。


 わたしは、みんなに「自分はできる子だ」っておもってほしい。

 ちょっとしんどいな、とおもったときは、ぜひ前向きな言葉や、夢や、なりたい自分をつぶやいてみてください。脳がだまされてくれます。そうしたら、よし、すこーしだけがんばてみようかなって、おもえるんじゃないかな。


 さてさて、みなさんも、ちょっと言葉に気をつけようかなっておもったでしょう?

 ほら、わたしの魔法にかかった。

 以上、みんなの幸せを祈る、国語科の魔法使いササキでした!

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